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ロリホワイトさん大ピンチ その6(完)

10秒くすぐっては、負けを認めるか問いかける。
単純ながら非常に効果的な責めであった。
逃れようのない激しいくすぐりに笑わされ、僅かな休憩中には言葉でなじられる。
このループを延々と繰り返され、年齢を考えれば驚異的といえる精神力にも限界が近づいていた。

「はい、それではまた10秒―」
「ぁ……ま、待って…」
「えっ?なんですか?」

わざとらしくロリホワイトの顔を覗きこむ蠍女。
そっぽを向こうとするロリホワイトの顎を掴み、無理やり視線を交差させる。

「何か?まさかまさか、降参ですか?」
「ち……違うっ…!」
「そうですか?もしもお姉さんが惨めにも許しを請うというのなら、くすぐりは終わりにしても…」
「っ!?」

これ以上に心を揺さぶられる誘惑があっただろうか。
ただの小学生の体力などとうに尽きている。
最後の支えとなっている正義のヒロインとしてのプライドが、ぐらりと揺らいだ。

「う、嘘に決まってる!」
「もちろん信じなくてもOKですよ。だったら、このままくすぐり続けるだけです」
「く……うぅっ…」

崩れかかった意地はもはや風前の灯。
葛藤に打ち震えるロリホワイトの姿は、正に蠍女が求めていたものだった。

「ほら、お姉さん」

蠍女は左手でロリホワイトの顎を保持したまま、その口元に右手を近づけていく。
その人差し指の先からは墨のようなものが染み出し、指の根元までを黒く染めていた。

「見てください。この黒い液体を舐めとれば、すぅーっと眠るように意識が遠くなっていきます。
 言葉で負けを認めるのが嫌なら、行動で示して下さい」
「なっ…?」
「『私の指を根元まで咥えて、ぺろぺろ舐めて綺麗にして下されば許してさしあげる』
 と言ったのですよ」
「ば、馬鹿じゃないの!?ふざけるのもいい加減にしなさいよ!」

そう怒鳴り返しつつも、目の前にちらつかされた指から視線を逸らせない。
これを口に含めば……くすぐりから逃れられる。
しかし、意識を失っている間、そして目を覚ました後に何をされるかは分かったものではない。

「では、応援のヒロインさんがくるまで休み無しでくすぐってさしあげましょうか」
「っ!!」

完全に追い込まれた。
敗北を認めるか、ノンストップのくすぐりに晒されるか、どちらかを選ぶしかない。
――否。
もう選択の余地など無かった。

「もう…もう、くすぐりだけは嫌…」
「それならこの指を咥えて下さい。大丈夫、苦くなんてありませんから」

ゆらゆらと鼻先で揺らされる、黒い人差し指。
それを見つめていると、無意識に口が開いていってしまう。

「(駄目、絶対に駄目…!)」

そう自分に言い聞かせるが、止まらない。
ロリホワイトの半開きの口から舌先が覗く。

「――そこまでよ!」

凛とした声。
ロリホワイトはもとより、蠍女がそちらを振り向くよりも速く一陣の風が吹いた。
何者かが高速で近づいてくるのはかろうじて分かるが、怪人である蠍女の目がついていかない。
乱入者は一瞬にして彼女の懐に潜りこむと、その腹に強烈なボディブローを叩きこむ。

「っ……!」

蠍女をロリホワイトや人質から遠ざける為の攻撃だったようだが、それでも相当な威力だったようだ。
小さな体躯は木の葉のように吹き飛ばされ、地面を転がり、地面に固定されたゴミ箱にぶつかってようやく止まった。

「イエロー!?」
「よく持ちこたえたね。あとは私がやるから」

そう言ってロリホワイトの頭を撫でる乱入者。
隣町の正義のヒロイン、ロリイエローであった。
やはり黄色を基調としたコスチュームに身を包み、黄色い髪をシニヨンにまとめている。

「いたたた…あと一歩でホワイトのお姉さんを堕とせたんですが」

大して効いていなかったのか、服についた土を払いながら立ち上がる蠍女。
新手の登場にも焦った様子は無い。

「イエローのお姉さん、はじめまして。お姉さんも可愛らしいですねぇ」
「私を差し置いてなんて羨ましいことを!じゃなくて、この子達に使った技を解除しなさい!」
「嫌だと言ったら?」
「言わせない!」

有無を言わさぬ強い口調であった。
その目に激しい怒りの炎を見てとった蠍女は、戦意の無さをアピールするように両手を上げる。
そもそも、正面からまともに戦って勝てる相手ではない。

「やれやれ…分かりましたよ。
 私は能力を解除する。お姉さんは私を見逃す。それでいいですね?」
「早くしなさい」

みすみす怪人を逃がすのは癪だが、既に毒牙にかかった者を救うのが先決だ。
ロリイエローが低い声で促すと、蠍女はぱちんと指を鳴らした。
すると、自由を奪われていた5人は糸の切れた人形のように地面に崩れ落ちる。

「ホワイトのお姉さん以外も10分もすれば目を覚ますはずです。それでは、またの機会に」

背を向け、悠々と歩いて公園の出口へと向かう蠍女。
ロリイエローには彼女が約束を守ったのか判別できないが、今は信用するしかなかった。
もちろん約束を破って背後から攻撃をしかけるようなことはしない。

「イエロー……私っ…!」
「いいから」
「でも…」

ようやく自由になったロリホワイトの頭を胸に抱き、よしよしと背中を撫でてやるロリイエロー。
蠍女のようないやらしい触り方ではなく、この上なく優しい手つきだ。

「よく頑張った。あなたのお蔭で、今日も怪我人の1人も出なかったでしょ?」
「……」
「危なかったけど、私がギリギリ間に合ったじゃない。あんなやつは今度ぶっとばしてやればいいって」
「……ん」
「我ながらナイスフォローだわ、これで私達の仲は一気に進展、ラブラブ一直線…!」
「えっ?」
「ううん、何でもない。いい子いい子」

少し下心が漏れてしまったが、そんなことはどうでもいい。
ロリホワイトの心のケアが最優先だ。
ロリイエローにとって、彼女は戦友である以前に大事な友達なのだから。

「医療班はもう呼んでるから。この子達を預けたらさ、今日はうちに泊まりにきなよ」
「うん」

頭を離して表情を窺うと、ロリホワイトはようやく気を持ち直したようだ。

「次は油断しないし、絶対負けないから!あんな変態女はグーで殴ってやるし!」
「その意気その意気」

拳を握りしめてリベンジを誓うロリホワイト。
その横で「お泊りイベントきた!なんとか今日中にキスぐらいまでもってけないかな…!」などと思案するロリイエロー。
基地へと戻りながら、ヒロイン2人を同時に捕えるための戦略を練る蠍女。
正義のヒロインも悪の怪人も、そろぞれ結構大変なのだ。


                                    ロリホワイトさん大ピンチ おしまい。
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ロリホワイトさん大ピンチ その5

「確かにあまりのんびりしている暇はありませんね。
 とは言っても、5分や10分で来るものではなさそうですが」

蠍女は指先をロリホワイトの両腋に触れさせる。

「さっきの凄かったでしょう?くすぐったい部位の中でも、お姉さんが特に弱い場所だけを攻撃したんですよ。
 腋だったらここですね」

頭の後ろで手を組まされているため、見せつけるかのようにむき出しになっている腋。
その窪みの深くをなぞられ、ロリホワイトの体に鳥肌が立つ。

「ここをこちょこちょされたらたまりませんよね。あぁ、それにしても綺麗な腋」
「っ…」
「脇腹ならおへその横のここがお姉さんの急所ですね。で、足の裏なら土踏まずのこの辺り」

それぞれの弱点に指があてがわれる。
いっそ耳を塞いでしまいたいが、自由を奪われた体ではそれも叶わない。
聞き流そうとしても、言い聞かせられた急所を意識せずにはいられなかった。

「今度は10秒にしましょうか」
「やっ…ぐ、ううぅっ!うあっ、あっ、あっはっははははは!!」

2度目となる弱点のみへの集中攻撃に堪えられたのは一瞬だけ。
あっけなく笑い声を引きだされてしまう。

「あらあら、正義のヒロイン様がみっともないですよ。そんなに楽しいんですか?」
「ぎゃははははははっ!はひっ……ゃめっ、ひひひひっ!」

問いかけに答える余裕などあるはずもない。
いくら力をこめようとも、ロリホワイトの体は身じろぎ程度にしか動かなかった。
ただただ蠍女の目論見通りに笑い続けることしかできない。

「はい、10秒」
「…っ……ひっ……はぁっ…!」

ぴたりと5人の指が止まると、ロリホワイトは酸素を求めて喘ぐ。
強制的に笑わされ続け、肺の中の空気を完全に吐き出させられたためだ。
大口を開けることも躊躇わず、少しでも大きく息を吸う。

「分かりましたか?強がって見せても、私のくすぐりに抗うことはできないんですよ」

蠍女は涙目で呼吸を整えるロリホワイトを嘲るような口調で続ける。

「自分でやっておいてなんですが、くすぐりに屈服しちゃう正義のヒロインってどうなんでしょうね?
 そんなんで町のみんなを守ろうだなんて、こっちが大笑いしちゃいますよ」
「うるさいっ!笑わされたから何だっていうのよ、私はまだ全っ然負けてないんだから!」
「開き直るのもいいですけど……声が震えていますよ」

たとえ虚勢を見抜かれていようと、弱気なところを見せて調子に乗せるわけにはいかない。
あとどれだけかかるのか分からないが、応援がくるまではこうして耐えるしかないのだ。

「さて、また10秒笑ってもらいましょう」
「ひっ、ひゃひひひひっ!ひゃははははっ、あぁっ、ああああぁっ!」

抵抗が無意味なのは十分に思い知らされている。
何をどうしようが、蠍女が笑わせようと思えばロリホワイトは笑わされるしかない。
蠍女が望んだ通りに、楽しくもないのに笑顔を作らされ、甲高い笑い声を上げさせられる。

「10秒です」

3度目のくすぐりが終わると、ロリホワイトはぐったりと頭を垂れた。
もはや、蠍女が能力を解除すればその場に崩れ落ちてしまうだろう。
まだ春先だというのに、彼女の露出した肌には汗の雫が光っている。

「どうですか、お姉さん。そろそろ負けを認めたくなってきましたか?」
「だ……だりぇが…」

かろうじて拒絶の意思を口にするが、呂律が回っていない。

「そうこなくては。では、続けますよ」
「ひゃへへへっ!!ひゃめっ、っぐ、ぎゃははははぁっ!!」

ロリホワイトさん大ピンチ その4

※1つ前の記事にも書きましたが、18日昼にその3を加筆修正しました。まずはそちらからどうぞ。

_________

「1秒です」

ぴっと指を立てて宣言する蠍女。

「たった1秒のくすぐりで、お姉さんの中の『くすぐり』のイメージを塗り替えてみせましょう」
「……ふん」

厳しい目で睨みつけるも、ぷにぷにと頬をつつかれながらでは迫力が無かった。
返事が無いことを気にした様子もなく、蠍女はロリホワイトの目の前にしゃがみこむ。
4人の少女もそれに追従し、2人ずつロリホワイトの左右に展開する。
蠍女の手はロリホワイトの腋へ。
4人の手はそれぞれ、左右の脇腹と足の裏に。
いずれもまだ肌には触れず、ぎりぎりのところで止められている。

「ではでは、カウントダウンを」
「はい」

先ほどと同じ少女が返事をする。

「10………9………」

つまらない演出だ。
こうやって不安を煽ってやろうという意思が透けて見える。

「今までもこうやって女の子を虐めてきたわけ?」
「虐めるだなんてとんでもない。これが私の愛し方なんですよ」

冗談のような本気のような口調。
どちらにせよ、これまでも各地で同じようなことをしてきたのだろう。
話している間にもカウントダウンは進んでいく。

「6………5………4………」

必要以上に身構えてしまっては思うつぼだとは分かっているのだが、流石に不安がつのる。
あと3カウントだ。
強烈に違いないくすぐったさを耐えるためには、しっかりと呼吸を整えなくてはいけない。

ゆっくりと息を吸い、ゆっくりと―
肺の中の空気を吐きだそうと体の力を抜いた瞬間、5人の指が一斉に蠢いた。

「はあああぁあっ!?」

電流を流されたかのような衝撃。
それをくすぐったさと認識するのが一瞬遅れてしまうような強烈さだった。
意思に関係無く体が勝手に大声を上げてしまう。

「はっ……あぁ…っ…」

宣言通り、1秒でくすぐりは止まった。
しかしロリホワイトの腹筋はピクピクと震え、呼吸も乱れっぱなしだ。

「っ、あんた…!」
「悪者の言うことを素直に信じてしまうなんて…うふふふふっ」

10秒のカウントダウンは、心にプレッシャーをかけるためだけのものではなかった。
真の目的は「カウントダウンが終わるまでの間は安全」と思い込ませること。
そして肉体が脱力した僅かな隙を見逃さず、5人同時に手加減無しのくすぐりを行ったのだ。

「ゆっくり焦らして可愛がってあげるのもいいものです。
 けれど、最初にとびきりのくすぐったさを味わわせた時の女の子の表情は……
 その日に一度しか見れない特別なものですからね」

ロリホワイトが「あまりに手ぬるい」と感じた感度チェックもそのための布石。
弱点を探し出しつつも極力くすぐったさは与えないように、という配慮がなされていたのである。

「最高でしたよ、さっきのお姉さんの顔。きっと忘れません」
「この、変態っ…!」

羞恥と怒りから発せられた言葉も、蠍女にとってはご褒美のようなもの。

「では、お姉さんはその変態に許しを請うようなことは…しませんよね?」
「当たり前でしょ!それに、こうしてる間にでも応援が来るわよ。
 こっちだって1人じゃないんだから」
「でしょうね」

別の街にも怪人は現れており、変身ヒロイン達も1人や2人ではない。
そもそもヒロイン達がピンチになることなど滅多にないが、いざという時には近くの地区の仲間が助けにくるようになっている。

ロリホワイトさん大ピンチ その3

「無駄ですよ」
「くっ……!」

成す術もなくへたり込んだままのロリホワイトを見下ろす蠍女。

「ロリパワー解析のため、お姉さんにはうちの研究所にきていただきます……が」

そこで初めて、蠍女はその顔立ちに不釣合いな表情を浮かべた。
口元を吊り上げた、子供らしからぬ笑みである。

「その前に、私の個人的な趣味に付き合ってもらいます」

その言葉と同時にロリホワイトの体が動き出す。

「わっ!?」

地面に崩れ落ちた時と同様、彼女自身の意思による行動ではない。
勝手に腕が持ち上がり、両手が頭の後ろで組まれる。
足は肩幅まで広げられ、立て膝の状態から動かせなくなった。

「いい格好ですね。ねぇ、どんな気分ですか?」
「…最悪に決まってるでしょ」
「手厳しいですね。身動きもとれないというのに、気丈なことです」

立て膝なので、今は蠍女の方が頭の位置が高い。
蠍女はロリホワイトの頭を撫で、人差し指で頬をつつく。
柔らかく張りのある肌の感触が指先に伝わり、蠍女は上機嫌そうに何度も頷いた。

「さすが、私が目をつけていただけありますね。
 そんなお姉さんが、これから私に泣いて許しを請うかと思うと……正直、ぞくぞくしてしまいます」
「可愛い顔しといて、意外と悪趣味なのね。連れてくならさっさと連れていけばいいのに」

不安を断ち切るように、ロリホワイトは強い口調で言い返す。

「まぁまぁ、そう怒らないで下さいよ。意外と楽しいかもしれませんよ?」

蠍女は屈みこみ、ロリホワイトへと手を伸ばしてきた。
後ずさろうにも体の自由は利かない。
ロリホワイトの体は、実際にはピクッと震える程度にしか動かなかった。
彼女は、自分の上半身に近づいてくる手をただ見つめることしかできない。

(何?また、針…?)

見た目は少女でも、相手はれっきとした怪人なのだ。
自分に苦痛を与えようとして当然である。
蠍女がその気になれば、ロリパワーの加護を受けていない彼女など一撃で昏倒してしまうだろう。
それどころか命すら危うい。
もしくは、別の種類の毒を射ち込まれるのだろうか?
悪い予感ばかりが脳内に渦巻き、さすがのロリホワイトも身を固くする。

「覚悟はいいですか?」
「……好きにすればいいでしょ」
「分かりました」

一瞬後の痛苦を想像し、ロリホワイトは歯を食いしばり、ぎゅっと目を瞑った。
怯えはしても屈するつもりはない
しかし。
彼女の体に与えられた刺激は、思いついたどの予想とも違うものだった。

「ぁふぅっ!?」

きつく閉じていたつもりの口から、呆気なく声が洩れた。
目を開けば、蠍女が自分の腋を指先でなぞっているのが見てとれた。

「やめっ、こらっ、何して……っく!」
「何、と言われましても」

滑らかな肌触りを楽しみつつ、ごく普通のことのように答える蠍女。

「いつだって格好よくっておすまし顔をした正義のヒロイン。
 そんな女の子達を捕らえてくすぐるのが、私の一番の趣味なんです」
「な、何言って……ぅふっ!!」
「いい反応ですね。そうやって不意をつかれて声が出ちゃうっていうのも好きですよ」

よくよく見れば、ロリホワイトの服装はやや露出度が高い。
腋やお腹・背中など、よりにもよって蠍女が好みそうな部位が完全に剥き出しである。

「こ、こんな事して何になるって言うのよ!笑ってるのが好きだったりゃぁあっ!?」
「あはは、まだ触ってるだけですよ?
 今からそんなんじゃ…これからどうなっちゃうんでしょうね?」

捕えた獲物をどうやって弄ぼうかと考えを巡らせていると、頬が自然と緩む。
とは言っても、どうするのかはほぼ決まっているのだが。

「まずは感度チェックといきましょうか。みんなで」
「……みんな?みんなって…ぅひいぃっ!?」

問いかけるよりも早く、何者かに背筋をつつーっとなぞり上げられた。
蠍女の指ではない。
彼女の両手はロリホワイトの二の腕を撫でている。
反射的に振り向こうとするが、体の自由は全くと言っていいほど利かない。

「あはっ。お姉さん、ずいぶん面白い声出すんですね?」
「だ、誰っ!?一度に3人とか、怪人には遠慮ってもんが……っ!?」

ロリホワイトの目が大きく見開かれた。
それもそのはず、背後から正面へと回り込んできたのは、先ほど助けた人質の少女達だったのだから。

「これはっ…!」
「その子達は怪人じゃないですよ。れっきとした小学生の女の子です」

クスクスと笑う蠍女。
4人の人質は、いずれも焦点の合わない虚ろな目をしている。

「その子達に何をしたの!?」
「嫌だなぁ、何にもしてませんよ?ねー、みんな?」
「…うん。何も、されてない」

蠍女がわざとらしく問いかけらると、少女の内1人が小さく頷いた。
抑揚のない、まるで機械のような棒読みだ。
とても何もされていないようには見えない。
おそらく、蠍女の能力によってロリホワイト以上に強く心身を支配されているのだろう。

「ふざけないで!私が目当てなら、もうその子達はいいでしょ!」
「もちろん、事が済んだら帰してあげますよ。それより…今は自分の心配をした方が良いのでは?」

蠍女が目配せすると、4人の少女はふらふらとロリホワイトに近づき、その両手を伸ばしてくる。

「っ……やめっ…!」

4人の手は、腋・脇腹・太股といった敏感な部位を撫でまわす。
しかし、くすぐるというよりは肌の質感を確認するような触り方だ。
ぞわぞわと全身に鳥肌が立つが、それでもロリホワイトは蠍女を睨みつける。

「無関係の子にこんな事させて……ただで済むと思わないでよ」
「怖い怖い。一体どんな大逆転劇を見せてくれるんでしょう」

蠍女は近くにあったベンチに腰掛け、足を組んで背もたれに体重を預ける。
いやらしい目つきで全身を舐めまわすように眺めてはくるものの、手は出してこない。

「その子達は、ただお人形さんになっているだけではありません。
 4人が感じたお姉さんの手触り、体温、反応……それらは全部、私の元に送られているんですよ」
「……あっそ」

道理で自ら参加しないわけだ。
それにしても、4人のこの触れ方はあまりに手ぬるい。
人形状態だと、あまり精密な動きはさせられないのだろうか?

「っ、ちょ、どこ触って…!」
「気にしない気にしない。その子達はどうせ何も覚えちゃいないですよ」

かなり際どいところを触られた。
というか、8本の手は本当にどこもかしこも触ってくる。
くすぐりの対象として思いつくような場所だけではない。
編み上げサンダルも脱がせ、文字通り頭の天辺から爪先までを丁寧に撫でさすってくるのだ。

「…ふむ。大体分かりました」

数分の沈黙の後、蠍女がそう呟くと同時に4人の手が体から離れた。
どうやら感度チェックとやらが終わったようだ。

「退屈させてしまってすいません。けれど、大事なことだったので」
「どうせどうでもいい理由なんでしょ。くっだらない」

悪態をつくも、蠍女の機嫌を損ねることはできなかったようだ。
ベンチから腰を上げると、彼女はむしろ笑みを濃くしてロリホワイトに近づいてくる。

ロリホワイトさん大ピンチ その2

「あんな牛すぐ倒しちゃうから、もうちょっとだけ待っててね」

とは言ったものの、どうしたものか。
話している間も牛男の攻撃は続いており、バリアの外は真っ白に染まっている。

「うーん。ちょっと浴びるのはしょうがないかなぁ」

ロリホワイトのスペックは恐ろしく高い。
仮にバリアを張らずに銃弾や硫酸を浴びようと、スーツの力だけで十分に防ぎきることができる。
しかし――仮に無害だとしても、牛乳などかぶりたくない。
変身ヒロインのスーツとて、さすがに臭いを防ぐような機能はついていないのだ。
牛男も永久に牛乳放射を続けられはしないだろうし、しばらく様子を見るのが無難だろうか。
腕を組んで考えるロリホワイトに、背後から声がかけられた。

「あの、これってまだかかりそうですか?」
「ん?えっと……あの牛次第かも」

振り返ると、おかっぱ頭の少女が近づいてきていた。
これから塾でもあるのだろうか、やや焦ったような表情である。

「それより、皆と一緒に端っこの方に避難してなきゃ駄目だよ。やっぱり危ないからね」
「はい、でも…」

少女は素直に頷きながらもその場から動かず、ロリホワイトの右手をとってくる。

「近づかないと、私の技は使えませんから」
「えっ……」


ちくり。


手のひらに何かが刺さった。
ロリホワイトが反射的に振り払うより先に、少女は後ろに跳び退って距離を取る。
その身のこなしは明らかに常人のものではなかった。

「ロリホワイトのお姉さん、はじめまして。私、怪人の蠍女と申します」
「か……怪人…!」

1度に2体の怪人が出現するなど、前代未聞の事態である。
また、人間と全く同じ姿の怪人などという存在も想像の範疇外であった。

「私は、人間社会に溶け込めるようにと最新の技術を駆使して作られた怪人です。
 毎日きちんと小学校に通っているのですよ」

にっこりと、いかにも子供らしい笑みを浮かべてみせる蠍女。
彼女はロリホワイトを見つめたまま、バリアの外へと声をかける。

「牛男さん。ビームを止めてくださいな」
「え?もう終わったんすか!?先輩パねぇっすね!」

牛男が牛乳の放射を止めると、真っ白な飛沫が少しずつ収まっていく。
そして蠍女の姿を確認すると、彼は深々と頭を下げた。

「お疲れ様っす!
 ――って、え?ロリホワイト全然元気じゃないっすか!?」
「いえいえ、決着はつきました。
 後は私だけで十分ですので、先にお帰りください」
「しかし……先輩の身に何かあったら!」
「牛男さん」

蠍女はロリホワイトから視線を外し、牛男に微笑みかける。

「『帰れ』と言ったんですが、聞こえませんでしたか?」
「すっ……すいません!お疲れ様っした!お先失礼します!」

どうやら、彼の方が階級は低いらしい。
牛男は白黒した顔を青くすると、逃げるように全速力で駆け出していった。

「やれやれ、ですね。物分かりの悪い部下を持つと面倒です」

苦笑しつつロリホワイトに向き直る蠍女。
ロリホワイトは緊張した面持ちでその視線を受け止める。
手のひらには何の痕も残っていないが、何かをされたのは確かだ。平静でいられるはずがない。

「何をしたの!?」
「バリアの使用中は、全てのロリエネルギーがそこに集中する。
 今までの戦闘から明らかになっていることです」

質問には答えず、蠍女はくすくすと笑う。

「しかし防げない攻撃が存在しない以上、大した欠点ではありませんね。
 普通に考えて、バリアの外からお姉さんを攻撃する方法はないのですから」
「っ!」
「気づいたようですね……そう。
 『仮にバリアの中に潜入できれば、無防備なロリホワイトに攻撃できる』ということです」

笑みを濃くする蠍女とは対照的に、頬を引きつらせるロリホワイト。
展開し続けていたバリアを消すが、今さら何の意味もない。

「無敵のロリホワイトといえども、生身で私の針を刺されたらおしまい…」
「あっ!?」

前触れもなく、ロリホワイトの膝がかくんと落ちた。
絶望して跪いたわけではない。
唐突に両足から力が抜けたのだ。

「お姉さんの体は、既に私の支配下です」

蠍女は、地面にへたり込んだままのロリホワイトにゆっくりと歩み寄る。
ロリホワイトは地面に手をついて立ち上がろうとするも、今度は腕の力が抜けてしまう。
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