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くすぐり姫の狩猟 その4(完)

「どうですか、先輩?くすぐったいですか?」
「も、もちりょん……あはっ」
「ですよねー」

美沙の体は火照り、完全に脱力しきっている。
もういい頃合いだろう。
柚子は右腕で美沙を抱きかかえるようにして、指先で左脇腹の弱点に触れる。
同時に、左手は美沙の首筋に持っていく。

「せっかくのお昼休みにこんなことに付き合ってもらって、先輩には悪いと思ってるんですよ」
「えっ……ううん、そんなことないよ。プリント運ぶの手伝ってもらったし…」
「でも、こういうの、ヤじゃないですか?」
「うん、嫌じゃないよ…ちゃんと手加減してくれたし」
「(なんというか、本当にいい先輩だなぁ)」

誠心誠意をこめてじっくりくすぐってさしあげて正解だった。
柚子は美沙の弱点を優しくつつきながら、猫をあやすように首元をこちょこちょとくすぐる。
あとは、素直に訊ねるだけだ。

「じゃあ、正直に答えて欲しいんですけどー」
「…ふふっ……何?」
「くすぐったいのって、どうですか?」
「……ぅんん…?」

質問の意味がよく分かっていないようだ。
美沙は、くすぐられている首を回して柚子の方を向く。

「くすぐられると、くすぐったいですよね」
「えっと…?うん、それはそうね」
「でも、それだけですか?
 苦しいーとか、意外と楽しいー、とか何でもいいから…先輩がどう感じたのか聞きたいです」
「……うん」

今日の成果はこの返事にあると言っても過言ではない。
柚子は美沙の瞳を見つめ返し、固唾を飲んで返事を待つ。

「ちょっと言いづらいんだけど…」
「はい」
「変に思わないんで欲しいんだけど…」
「はい」

柄にもなくどきどきしてしまう。
背後から抱きついているのだから、心臓の鼓動が速くなっているのはバレているだろう。

「……ちょっと、気持ちよかった…かも」

そう言って、ぷいっと正面に顔を戻してしまう美沙。
気持ちよかった。気持ちよかった。気持ちよかった。
柚子は確認するように脳内で反芻してみる。

「っごめん、今の無かったことに…」
「先輩っ!!」

ぎゅうっと美沙を両腕で抱きしめる柚子。

「無かったことになんてしませんよ。すっごい嬉しいんですから」
「……姫ちゃん」
「あ、でも1回目から気持ちいいっていうのはー…少しやらしいかも?」
「姫ちゃん!」
「くくっ、冗談ですよー」

腕に更に力をこめ、大きな達成感と喜びを噛みしめる柚子。
「楽しかった」ぐらい言わせるつもりではいたが、こうも上手くいくとは。
それに、美沙に自分の趣味を受け入れてもらえたのは素直に嬉しい。

「まぁ、私のテクニックにかかれば―」
『きーん こーん かーん こーん』

柚子の台詞を遮るように予鈴が鳴った。
2人は顔を見合わせると、名残惜しそうにゆっくりと立ち上がる。

「空気を読まないチャイムですねぇ。まぁ、今日はこんなところで」
「うん。じゃあ、行きましょっか」

美沙はブレザーのボタンを閉じつつ階段を降り始める。
3年生の教室は5階なので、当然ながら数秒で着いてしまう。

「ではでは、また」
「またね」

手を振って教室に戻っていく美沙を見送りながら、彼女の体の感触を思い返す柚子。
着やせすることを知っているクラスメイトはいるだろうが、触り心地まで知る者はそういるまい。
美沙の姿が見えなくなると、柚子はなんとなく誇らしい気分で階段を降りるのだった。
今日の狩りは成功も成功、大成功。
これなら退屈な午後の授業も気分良く迎えられる。


                                       くすぐり姫の狩猟  おしまい。
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