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いもうとめざまし 後編

「ぁはっ…もう、やめてって!」

身を捩った勢いをそのままに、私はごろんと体勢をうつ伏せに変える。
上手いタイミングで回れたので、体の上から茉莉を落とすことはなかった。

「あれ、そんなんでガードできると思っちゃってるのかな?」

そんなわけがない。
表向きは「身を守る為に反射的に背中を向けた」って感じだけど、実際は全くの逆。
真正面からだと抵抗できちゃってくすぐりを存分に楽しめないからこそ、わざわざこの形にもっていったのだ。
昨日までは1分も我慢できずに突き飛ばしちゃってたから、ここから先は未知の領域。
正直言ってワクワクが止まらない。

「姉思いの妹がいて良かったね。ばっっっちり目を覚ましてあげるから感謝していいよ」
「っ~~~!!」

背筋をつつーっとなぞられて、ぞわわっと全身が粟立った。
妹よ、どこでそんなテクニックを…
姉失格の邪な感動に浸っていると、茉莉の指が脇腹に触れてくる。

「確かこのへん弱かったっけ」
「はぅんっ!!」

腰のくびれのところを軽く突かれ、びくんと体が跳ねる。

「やっぱり。それじゃ、たっぷり笑ってね」
「ふぐっ、あっ、あっはっはははは!!」

我慢なんて1秒もできずに、私の口から甲高い笑い声が上がった。
脇腹がもの凄いくすぐったくて、思わず腕に力が入る。
けど、茉莉の膝が邪魔になって完全には脇腹を守れない。
わざとそうしたとはいえ、それでもこの強烈なくすぐったさには焦る。

「うひゃひゃひゃっ!まいった!まいったきゃらあぁっ!!」
「参ったって何の話?起こしてあげてるだけじゃん」

茉莉の指は不規則に私の脇腹に食い込んで、徹底的に揉んでくる。
その容赦のないくすぐりに、私は大声で笑い悶えることしかできない。
勝手に手足が暴れまわって、おかしくもないのに笑顔になってしまう。
それに早くも息苦しくなってきた。
――けど。
それなのに「もっとくすぐって欲しい」という気持ちが強まっているのが自覚できた。

「今度はここ。こ~ちょこちょこちょ~」
「ぎゃっはっはっははは!無理っ、ストップ、すとっぷうぅっ!!」

パジャマの裾から侵入した2本の手が、今度は腋をくすぐり始める。
条件反射でそこをきつく閉じてしまうけど、服の中のくすぐりはそう簡単に止まらない。
妹の小さな手は私の腕と横腹に挟みこまれながらも蠢き続ける。

「一番弱いのってお腹じゃなくてこっち?体がっくがっくしてるけど」
「はひひひ!ひゃっ…ひゃめへぇっ、あははははっ!」

私はすっかり陶酔していた。
今の自分の顔を鏡で見たら自殺したくなるかもしれない。
とんでもなくくすぐったくて、今すぐ逃げ出したいんだけど、もっと続けて欲しい。
これって矛盾してるよね?
余裕なんてこれっぽっちもないはずなのに、頭のどこかでそんな冷静な分析がなされていた。
このままずっとくすぐられてたら、一体どうなるんだろう。
流石に苦しくて嫌になる?
それとも――

「はい、目覚ましおしまーい」
「はぁ……ぇ…?」

ぴたりと手の動きを止めて、茉莉は私のパジャマから腕が抜いて立ち上がった。
背中が軽くなると急に現実感が戻ってくる。

「さすがに時間ヤバいしね。パン焼いとくから、5分以内に降りてくること。いいね?」
「えっ、あ、うん」

呆けた顔の私を残して、茉莉はさっさと部屋から出ていってしまう。
続いて、とんとんとんとん……と軽やかに階段を降りる音が聞こえてくる。

「……凄かった」

ぽつりと呟く。
未だに脇腹と腋にはムズムズとした感覚が残っている。
ここ数日は毎朝くすぐられてたけど、あんなに激しくやられたのは初めてだった。
でも、まだまだ物足りない。
明日も明後日も茉莉にくすぐって起こされるのだと思うと、それだけで胸が高鳴る。

「って、起きないとだ」

できることならしばらく余韻に浸っていたいけど、そうもいかない。
これ以上遅刻すると進級も危ういし。
とりあえずトイレ行って、顔洗って、それから着替えだ。

「明日はどうやって長引かせるかなぁ…」

我ながらとんでもない独り言を吐きつつ、私はのろのろとベッドから降りた。
やっぱり、くすぐられるのってたまらない。
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